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百貨店は「顔」を明け渡すほどブランド頼み

商社と並んで、海外ブランドの普及に貢献してきたのが百貨店だ。百貨店は今も昔も変わらず、ブランドの重要な拠点である。ただし、ブランド品を売る場所は変化した。一九七〇〜八〇年代にかけては、海外の一流品を百貨店で買おうとする時、客は六階、七階の上層階に足を運ばなければならなかった。そこは「特選品売場」「特選品サロン」、あるいは「サロソードーシック」などと名付けられ、さまざまなブランド品を一堂に集めていた。床には赤いカーペットが敷かれ、特注の什器を前に、ホテルマソのようなたたずまいの百貨店従業員が客を待ちかまえていた。こうした売場は今でもあることはある。だが、ブランド品の主要な売場は間違いなくI階だ。百貨店の「顔」とされるグランドフロア(一階)は、ブランドの巣窟だ。日本橋の三越本店を覗いてみょう。一階の一等地に売場を構えているのは、ヴィトン、エルメス、ブルガリ、ロIぺ、カルティエ、ティファニー。それより規模はちょっと小さいが、コーチやハロッズのコーナーもある。プこハーの売場は、化粧品と婦人靴とバッグぐらい。誰の目からも見ても明らかに売り場の主役はブランドだ。銀座の松屋もすさまじい。一階の中央通りに面した一等地はブランドショップに占領されている。ヴィトン、ブルガリ、フェンディ、デビアス。その奥にはディオールやセリーヌの売場が控えている。「百貨店はブランドに一番良い場所をあけ渡し、大家業に徹しはじめた」とは、いわれて久しい表現だが、その傾向はますます強くなっている。百貨店とブランドとの関係は長い。百貨店は、高級感の演出と他店との差別化のために、六〇年代にパリのオートクチュールとライセンス契約を結び、ブランドのドレスを扱ってきた。やがてオートクチュールからプレタポルテにも手を伸ばし、有名ブランドの洋服や小物類も品揃えするようになった。高級品志向から海外ブランドの導入に力を入れてきた百貨店が、現在のように節操なくブランドに売場を明け渡すようになったのは、バブルに突入してからだ。といっても、当時はティファニーやヴィトンが目立つ程度で、現在よりは小規模なものだったが、時間の経過とともにどんどんブランド頼みになるのである。