一面だけの、前だけが映る鏡でいくら気取ってポーズを取っても、実際服を着て動いている時には決してそんな見え方をしていないのだ。無防備な後ろ姿。しかも私たちは街で後ろ姿を見られていることが多いのである。いかにも決めた格好をしている女の子の後ろ姿のバランスの悪さに、勿体ないなと思うことがよくある。二つの鏡の間に入って、きちんと後ろもチェックできる鏡をしつらえたブティックブがもっと増えてほしいと思う。どうもまだ、私たちは鏡に対して何か臆するところがある。鏡を自在に使いこなすというところまでいっていないような気がする。とくにジュエリーやアクセサリーの店では、鏡の認識が著しく遅れているのではないだろうか。たとえば指輪のように小さいものでも、アクセサリーというのは、身につける人のイメージに大きな影響力がある。体型やイメージのバランスに合っていなければ、妙に目立つものなのだ。それを小さな楕円の体の一部しか映らないような鏡だけで売ろうというのは、あまりにも商品を知らなさすぎると、怒りが込み上げてくる。