ガーターをめぐってはさまざまな伝説がある。そのひとつが、英国最高の栄誉とされるガーター勲章にまつわる伝説だ。ガーター勲章は1348年、エドワード3世によって制定されたとされる。つまり、ある外交官がローマでナポリ製ガーターを購う200年前、すでにガーターが定着していたことがうかがえる。聖堂騎士団など宗教性の強い結社にあやかって世俗騎士団がつぎつぎに設立されたが、ガーター騎士団もそのひとつであった。団員たちは所属を示すために、左足の膝下に青い布を巻いてポーズを留めた。この青い布がガーター勲章である。ガーターには「思い邪なる者に災厄あれ」との言葉がフランス語で、金糸によって刺繍された。英王室の紋章にあるのと同じ言葉だ。エドワード3世はプランタジネット朝の英国王で、フランス王位継承権を主張してフランスを相手に百年戦争をはじめた。国家主義的な機運が高まった時期、ガーター勲章はアイデンティティを再確認する効果もあったようだ。1346年、英仏戦争の只中、闘いの指揮を執るエドワード3世は、槍の切っ先にガーターを結んで勇気の証とした。これがガーター勲章の由来となったとされる。